「民泊の本人確認って、絶対必要なの?」「毎回ゲストと対面するのは正直大変…」「もっと効率的な方法はないの?」民泊オーナー様の多くが、ゲストの本人確認に関してこのような疑問や悩みを抱えています。
結論から申し上げますと、民泊における本人確認は旅館業法で定められた運営者の義務です。これを怠ると、最悪の場合、行政指導や営業許可の取り消しといった厳しい処分を受ける可能性があります。
しかし、その一方で、本人確認業務が大きな負担になっているのも事実です。
そこで今回は、民泊における本人確認の法的根拠から、具体的な3つの方法、そして運営を劇的に効率化する本人確認システムの選び方まで、わかりやすく解説します。
なぜ民泊では本人確認が「義務」なのか?

まず、なぜ本人確認が法律で義務付けられているのか、その背景と重要性を正しく理解しましょう。
根拠は「旅館業法」
民泊運営の法的根拠の一つである旅館業法では、宿泊施設に対して「宿泊者名簿」を備え付け、氏名、住所、職業などを記載し、3年間保管することが義務付けられています。
旅館業法 第六条 営業者は、厚生労働省令で定めるところにより宿泊者名簿を備え、これに宿泊者の氏名、住所、職業その他の厚生労働省令で定める事項を記載し、当該職員の要求があつたときは、これを提出しなければならない。 2 宿泊者は、営業者から請求があつたときは、前項に規定する事項を告げなければならない。
出典: e-Gov法令検索「旅館業法」
名簿の正確性を担保するために、宿泊者本人であることの確認が必要不可欠となるのです。
テロや犯罪を防止する社会的要請
本人確認は、テロリストの潜伏や犯罪組織による施設の不正利用を防ぐための、重要な水際対策でもあります。万が一、ご自身の施設で事件が発生した場合、宿泊者名簿が唯一の捜査のてがかりとなることもあります。
本人確認を怠ることは、オーナー様自身のリスク管理が甘いと見なされるだけでなく、社会的な安全への責任を果たしていないことにもつながります。
外国人ゲストへの追加義務
国内住所を持たない外国人宿泊者には、
- パスポート提示
- 旅券番号と国籍の記載
- パスポートコピー3年間保存
が法令で義務付けられています。違反すると行政処分の対象です。
本人確認を怠った場合のリスク
もし本人確認を適切に行わなかった場合、以下のようなリスクが考えられます。
- 保健所からの行政指導や改善命令
- 悪質な場合は、営業許可の取り消しや営業停止命令
- 事件発生時の責任問題
これらのリスクを回避するためにも、法令に則った確実な本人確認が求められます。

民泊における本人確認の3つの方法
現在、民泊で認められている本人確認の方法は、大きく分けて3つあります。それぞれのメリット・デメリットを見ていきましょう。
対面での本人確認

オーナー様やスタッフが、チェックイン時にゲストと直接会い、身分証明書(パスポート、運転免許証など)を目視で確認する方法です。最も原始的ですが、確実な方法です。
- メリット:確実性が高い。ゲストと直接コミュニケーションが取れ、安心感を与えられる。
- デメリット:オーナーの負担が非常に大きい。遠隔地の物件では非現実的で、深夜や早朝のチェックインに対応しづらい。
鍵の受け渡し施設等での本人確認
鍵の受け渡しを代行する近隣の施設や店舗に、本人確認業務も委託する方法です。
- メリット:オーナーの対面業務の負担がなくなる。
- デメリット:外部への委託コストがかかる。施設の営業時間が限られており、24時間対応は難しい。ゲストがチェックイン前に別の場所に立ち寄る手間がかかる。
ICTを活用した非対面での本人確認(オンライン本人確認)
2018年6月の旅館業法改正により、一定の要件を満たせば、ICT(情報通信技術)を活用した非対面での本人確認が認められるようになりました。これが現在の主流となりつつあります。
具体的には、施設に設置したタブレット端末やゲスト自身のスマートフォンを使い、ビデオ通話などで本人確認を行います。
- メリット:完全非対面で運営が完結する。24時間いつでも対応可能。運営を劇的に効率化できる。
- デメリット:システムの導入コストがかかる。タブレットなどの機器設置が必要な場合がある。
本人確認システムの選び方 4つのポイント

ICTを活用した本人確認を導入するなら、システムの選定が重要です。失敗しないための4つのチェックポイントをご紹介します。
法令要件を確実に満たしているか
最も重要なのは、旅館業法で定められた要件をクリアしているシステムであることです。具体的には、以下のような機能が求められます。
- 映像による容貌の確認ができること(リアルタイムのビデオ通話など)
- 提示された身分証明書の画像データを保存できること
- 保存したデータが鮮明で、記載内容を読み取れること
これらの要件を満たさない安価なシステムや自作の仕組みは、法律違反となるリスクがあるため注意が必要です。
2025年4月1日からは、遠隔本人確認を採用する場合に「常時鮮明なリアルタイム映像での顔確認」「10分以内に緊急対応できる体制」等の追加技術要件が適用されます。これを満たさないシステムは要注意です。
出典:厚労省パンフ「令和7年4月1日からフロント要件が変わります!」
ゲストにとって使いやすい操作性か
ゲストがストレスなく使えるかどうかは、非常に重要です。使い方が複雑だと、問い合わせが殺到したり、悪いレビューの原因になったりします。
- 多言語対応はしているか?(特に英語、中国語、韓国語)
- 画面の指示は直感的で分かりやすいか?
- ゲスト自身のスマートフォンで完結できるか?
ゲスト目線での使いやすさを確認しましょう。
主要なPMSやスマートロックと連携できるか
本人確認は、チェックインプロセス全体の一部です。PMS(宿泊管理システム)やスマートロックと連携できるシステムを選ぶことで、自動化しやすくなるでしょう。
理想的な連携フロー
- PMSの予約情報が本人確認システムに自動連携
- ゲストがオンラインで本人確認を完了
- 完了情報がシステムに記録され、スマートロックの暗証番号が自動発行・通知される
といった流れを構築できれば、チェックイン業務はほぼ自動化できます。
料金体系とサポート体制
料金体系はシステムによって様々です。
- 初期費用
- 月額固定費用
- 本人確認1件あたりの従量課金
これらの費用をトータルで比較し、ご自身の施設の規模や稼働率に合ったものを選びましょう。また、導入時やトラブル発生時に、日本語で迅速に対応してくれるサポート体制があるかも必ず確認してください。

おすすめの民泊向け本人確認システム5選
ここでは、法令要件を満たし、多くの民泊で導入実績のある信頼性の高い本人確認システムを5つご紹介します。
システム名 | 特徴 | PMS/スマートロック連携 | おすすめのオーナー像 |
---|---|---|---|
minpakuIN | タブレットでのセルフチェックインに特化。パスポートリーダーの精度が高い。ビデオチャットでの本人確認機能も搭載。 | 多数のPMS、スマートロックと連携 | 無人・省人運営を徹底したい。多言語対応を重視する施設。 |
KEYVOX | 本人確認からスマートロック、予約管理までをワンストップで提供。 | 自社サービス内で完結 | これから一括でシステムを導入したい。シンプルさを求めるオーナー。 |
AirHost Check-in | 大手PMS「AirHost」が提供。PMSとの連携がスムーズで、機能が豊富。 | AirHost PMS、主要スマートロックと連携 | すでにAirHostを導入している、または導入予定の施設。 |
KEY STATION | コンビニや駅などに設置された端末で鍵の受け渡しが可能。24時間コールセンターによるビデオ通話での本人確認機能。 | 多数のPMS、スマートロックと連携 | 物件近くにKEY STATIONがある施設。対面に準じた本人確認を重視する施設。 |
SmartInn | QRコードを設置するだけで導入可能。端末不要でスマホベースのセルフチェックイン。 | スマートキー、キーボックス、鍵の手渡し全てに対応 | 低コストで手軽に導入、民泊代行サービスも利用したい小規模施設。 |
出典: 上記システムの公式サイト情報を基に2025年7月時点で作成。最新の情報や料金詳細は各公式サイトでご確認ください。
- minpakuIN: https://renoful.jp/minpakuin/
- KEYVOX: https://keyvox.co/
- AirHost: https://airhost.jp/
- KEY STATION: https://key-stations.com/
- SmartInn: https://biz.smart-inn.co.jp/
本人確認システム導入時に注意すべき3つのポイント
ゲストへの丁寧な事前案内を徹底する
何よりも重要なのが、ゲストへの丁寧な事前案内です。多くのゲストは、チェックイン前にオンラインでの手続きが必要なことを知りません。
予約完了後やチェックイン前日の案内メールなどで、「当施設では、法律に基づきオンラインでの本人確認手続きが必須です」と明確に伝え、手続きを事前に済ませてもらうよう促しましょう。
安定した通信環境を確保する
物理的な設置環境、特に通信環境の確認も欠かせません。施設にタブレットを設置して本人確認を行う場合、安定したWi-Fi環境は生命線です。
もし通信が不安定であれば、手続きの途中で接続が切れてしまい、ゲストを混乱させ、チェックインができなくなるという最悪の事態も考えられます。必ず、十分な通信速度と安定性を確保してください。
個人情報の厳格な取り扱いを徹底する
そして最後に、忘れてはならないのが個人情報の厳格な取り扱いです。システムを通じて取得する身分証明書の画像データは、法律で保護された極めて重要な個人情報です。
導入するシステムのセキュリティ対策が万全であることはもちろん、オーナー様自身も、そのデータを適切に管理・保管する責任を負います。
まとめ
今回は、民泊運営における本人確認の重要性と、その具体的な方法について解説しました。
- 本人確認は法律上の義務であり、怠ると厳しい罰則のリスクがあります。
- 対面での確認は負担が大きく、ICTを活用したオンライン本人確認が現在の主流です。
- 本人確認システムを選ぶ際は、「法令要件」「使いやすさ」「連携性」「料金」の4つのポイントを必ず確認しましょう。
適切な本人確認は、法律を守るだけでなく、安全な施設環境を維持し、ゲストに安心感を与える上でも不可欠です。そして、優れたシステムを導入することは、煩雑な業務からオーナー様を解放し、運営を劇的に効率化する最も賢い投資といえるでしょう。
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