民泊を運営する上で、鍵の受け渡し方法はとても重要なポイントです。
適切に鍵の管理ができていないと、利用者の満足度が下がるだけでなく、セキュリティ面でのトラブルにも発展しかねません。
本記事では民泊初心者の方にも分かりやすく、鍵の受け渡し方法から、よくあるトラブルとその対策まで詳しく解説いたします。

ゲストへの鍵の受け渡し方法4選
民泊では物件の種類やオーナーの意向によって、さまざまなチェックインスタイルが用いられています。
こちらでは、民泊で使われていることが多い、一般的な鍵の受け渡し方法を4つ紹介します。
普通の鍵を直接受け渡す
民泊のオーナーが現地でゲストに直接鍵を手渡す方法です。チェックインの時間を伝えて、待ち合わせをして受け渡します。
メリット
- ゲストに安心感を与えられる
- その場で物件のルール説明や観光案内ができる
- どんな人が利用するのか直接確認できる
デメリット
- オーナーの時間が拘束される
- 到着遅れなどで待機が発生することも
- 複数物件の場合は受け渡しが大変になったり、渡し間違えるリスクも
直接受け渡す方法は、運営している民泊が少数だったり、自宅から近かったりして時間的手間が抑えられる方、ゲストとの交流を重視したい方に向いています。
キーボックスを利用する
民泊にキーボックスを設置して鍵を保管し、キーボックスにつけた鍵の暗証番号をゲストに知らせて受け渡す方法です。
郵便ポストなどを利用すればコストを抑えられる点が魅力です。
第三者の盗難リスクを防ぐために鍵は必ず設置し、利用者ごとに鍵の暗証番号は変更しましょう。
メリット
- 無人チェックインが可能
- 時間に関係なく柔軟に対応できる
- ローコスト&既存の設備を使ってすぐに始められる
デメリット
- こまめな暗証番号管理が必要
- セキュリティ的には弱い
- 建物によっては設置できないこともある
セキュリティ面はそれほど高くないものの、導入コストが低いため、多くの民泊運営者が採用しています。
スマートロックで一時パスワードやQRコードを発行する
スマートロックはドアに設置されたスマートロック端末に一時パスワードを入力したり、専用アプリ内で発行されたQRコードを使うという方法です。
物理的な鍵の受け渡しが不要で、鍵の不正使用リスクも低いため、オーナーとゲスト双方に利便性の向上やセキュリティ強化といった利点があります。
メリット
- 完全非対面での対応が可能なのでチェックインの時間的自由度が高い
- 毎回違うコードを使用するので高セキュリティ
- 開閉履歴がデータで残る
デメリット
- 導入コストがかかる
- スマートロックの設置作業が必要
- 停電時のリスク
スマートロックは利用履歴がアプリなどからリアルタイムで確認できるので、遠隔地に物件がある方や海外にお住まいの方に特におすすめです。
代行サービスを利用する
専門のチェックイン代行業者が現地で鍵の受け渡しや説明を代行してくれます。
メリット
- オーナーの負担が大幅に軽減される
- 専門の業者なので様々なケースに対応できる
- 多言語対応が可能な業者も多い
デメリット
- サービス利用量などの費用が発生する
- 業者の営業時間にゲストの対応が左右されることも
複数の民泊を運営している場合や、居住地と民泊の物件が遠く離れている場合にも使えるため、現在導入を進めているケースも多いです。
ここ数年では、コンビニに設置された専用の端末に鍵を保管して、暗証番号の入力や本人確認を行った上で鍵の受け渡しをするサービスも都心を中心に普及しつつあります。
ただ、すべてのコンビニがIoTキーボックスやチェックイン機に対応しているわけではないので、民泊があるエリアによってはこうしたサービスが利用できないこともある点にも注意が必要です。
民泊でよくある鍵のトラブルや注意点

事前に把握しておきたい、鍵に関するよくあるトラブル例も紹介します。
鍵の紛失
民泊でよく起こるトラブルが「鍵の紛失」です。
旅行中のゲストは観光や移動が多く、慣れない土地で鍵をどこかに置き忘れる、というケースが多いようです。
飲食店や交通機関、観光地などで紛失し、どこで落としたのか分からないまま戻って来られることもあります。
さらに、複数人で宿泊している場合は「誰が管理していたのか分からない」といったトラブルに発展することもあり、問題が複雑化することも少なくありません。
部屋に複数鍵を用意しておく、物理的な鍵のいらないスマートロックを導入する、などが防止策として有効です。
鍵の使用方法が分からない
国によって鍵の形状や種類が異なるため、日本の鍵は外国人ゲストにとって操作方法が分かりづらいことがあります。
たとえば、韓国では暗証番号を入力するデジタルロック方式、アメリカではエリアにもよりますが車のようなスマートロックタイプの物件が多いです。
オートロックの解除方法やキーボックスの開錠手順、スマートロックの設定方法など、日本独自の仕様に戸惑うケースが多発します。
無断で複製されるリスク
物理的な鍵を使用する場合、民泊では複数のゲストが入れ替わりで同じ鍵を使うため、無断で鍵が複製されるリスクも無視できません。
一度鍵を持ち帰って複製されてしまうと、将来的に不正侵入の危険性が生じます。
特に古い物件で一般的なギザギザの鍵(刻みキー)は、簡単に複製可能なため注意が必要です。
複製されたことにホスト側が気付くこともむずかしく、最悪の場合、又貸しや無断使用される危険性もあります。
民泊運用における鍵トラブル対策

民泊を運用するにあたり、鍵やチェックイン、セキュリティに関するトラブルは起こる可能性が高いです。
こちらでは、よくあるトラブルを未然に防ぐための対策をご紹介したいと思います。
合鍵を用意しておく
ゲストに物理鍵を受け渡す場合、紛失のリスクに備えて合鍵を複数用意しておきましょう。
- ゲストが民泊に入るための鍵
- 複数人のゲストが民泊に出入りするために部屋内に設置しておく鍵
- スタッフや管理会社に預けておくための鍵
- オーナーが保管するための鍵
また、ゲストに貸し出す用やスペアキーを作る場合は、必ずその鍵メーカーの正規店で作りましょう。
非正規店でスペアキーを作ると、きちんと鍵として機能しないというリスクもあります。ゲストやオーナー、スタッフの安全のためにも、鍵は必ず純正品を使用しましょう。
複数言語の説明書を作成する
鍵の使い方や注意すべきポイントは、国やエリアによって常識が異なる可能性があります。
「鍵が使えない」「壊れてしまった」などのトラブルを防ぐためにも、複数言語で取り扱い説明書を用意しておくことをおすすめします。
英語、中国語、スペイン語、韓国語、ベトナム語など、そのエリアを利用することが多い国の言語を用意しておきましょう。
書類で作成しておけばトラブルになったとしても、書面で説明したことの証拠として使えるので万が一の時にも安心です。
まとめ

民泊での鍵の受け渡しは、時間帯に関係なくチェックインしやすいキーボックスが多く用いられています。
スマートロックや代行業者によるチェックインなども、セキュリティ面から導入を検討しているオーナーも多くいます。
どの方法にもメリット、デメリットがあることはご紹介したとおりですが、運営方針にあっていて、効率のよい方法を選んで民泊運用の負担を軽減しましょう。