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民泊ビジネスガイド | 基本の仕組みから将来性までを解説

民泊ビジネスは、空き家や空き部屋を活用した新しい宿泊サービスとして注目を集めています。インバウンド需要の回復や大型イベントの追い風を受け、副業から本格事業まで幅広い参入方法があります。

この記事では、民泊の基本から法律、収益構造、最新動向まで、初心者でも分かりやすく解説します。

民泊ビジネスってどんなもの?

民泊ビジネスは、物件オーナーだけでなく管理会社や仲介サイトも関わるチーム戦です。まずは全体のしくみと、関係するプレイヤーを簡単に押さえましょう。

どう動く?民泊のしくみ

民泊新法では、制度の円滑な執行を確保するため、「住宅宿泊事業者」「住宅宿泊管理業者」「住宅宿泊仲介業者」という3つのプレイヤーが位置付けられています。

住宅宿泊事業者は、都道府県知事に届出をして民泊施設を直接運営するオーナーです。物件の安全管理や衛生管理の計画立案、近隣住民への配慮が責務となります。

住宅宿泊管理業者は、国土交通大臣の登録を受けて、事業者から委託されて民泊運営を代行する業者です。清掃・リネン交換・ゲスト対応などの管理業務を担当します。

住宅宿泊仲介業者は、観光庁長官の登録を受けて、宿泊者と事業者をマッチングするプラットフォームを運営します。AirbnbやBooking.comなどが代表例です。

家主が住んでいる場合と住んでいない場合の違い

民泊新法では、「家主滞在型」と「家主不在型」の2つの営業スタイルがあります。

家主滞在型は、自宅の空き部屋をゲストに提供し、同じ住宅内で過ごすスタイルです。改装費用が少なく、アットホームな雰囲気でゲストと交流できるメリットがありますが、単価が安くなりがちで、プライベートの確保が難しいデメリットもあります。

家主不在型は、物件全体をゲストに貸し出すスタイルです。高単価設定が可能で、プライベートを確保できますが、管理業務の負担が大きく、住宅宿泊管理業者への委託が必要になる場合があります。

民泊に必要なルールと許可

民泊を始めるには法律の枠組みを理解することが欠かせません。「民泊新法」「旅館業法」「特区民泊」それぞれの特徴と注意点を整理します。

住宅宿泊事業法(民泊新法)って?年間180日の制限と届出

住宅宿泊事業法は、平成29年6月に成立し、平成30年6月15日から施行された法律です。届出制により、比較的簡易な手続きで民泊を開始できます。

最大の特徴は、年間180日以内の営業制限です。人を宿泊させる日数が180日を超えてはならず、超える場合は旅館業法の許可が必要となります。「台所」「浴室」「便所」「洗面設備」の4つの設備要件と、現に人の生活の本拠として使用されている家屋などの居住要件を満たす必要があります。

許可ではなく届出制のため、自治体による条例でさらに制限される場合があることも注意です。地域によっては営業日数がさらに短縮されている場合もあります。

旅館業法(簡易宿所)なら1年中営業できる!条件と注意点

旅館業法に基づく簡易宿所営業は、年間を通して365日営業が可能です。多数人で客室を共用する構造の宿泊施設が対象で、一棟貸切の民泊やドミトリータイプの施設が該当します。

許可取得には、客室の延床面積33平方メートル以上、適当な換気・採光・照明設備、入浴設備などの構造設備基準を満たす必要があります。建築基準法や消防法への適合、用途地域の確認も必要です。

許可申請は都道府県知事(保健所設置市では市長)に行います。民泊新法より手続きは複雑ですが、営業日数制限がないため本格的な事業展開に適しています。

特区民泊とは?できるエリアと宿泊日数の決まり

特区民泊は、国家戦略特別区域法に基づく旅館業法の特例制度です。正式名称は「国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業」で、限定されたエリアでの営業が可能です。

年間営業日数の制限はありませんが、最低宿泊日数2泊3日以上という条件があります。

旅館業法の厳格な施設要件や管理体制は緩和されており、届出ではなく認定申請により営業できます。ただし、居室の床面積25平方メートル以上などの要件を満たす必要があります。

民泊関連法律の比較表

項目民泊新法旅館業法(簡易宿所)特区民泊
営業日数制限年間180日以内制限なし(365日)制限なし(365日)
手続き届出制許可制認定制
最低宿泊日数制限なし制限なし2泊3日以上
対象エリア全国(条例による制限あり)全国(用途地域制限あり)条例で指定された自治体のみ。最新は自治体HPで要確認
設備要件住宅設備(台所・浴室・便所・洗面)客室延床面積33㎡以上など居室床面積25㎡以上など
初期コスト低い中程度中程度
管理の複雑さ簡単複雑中程度
適用場面副業・短期運営本格事業・通年運営限定エリアでの本格事業

民泊ビジネスでお金はどう回る?【収益のしくみ】

どんなに集客できても、収益構造を理解していなければ長続きしません。売上の計算式や経費の内訳、稼働率の考え方を見ていきましょう。

売上の計算式と利益を決める3つの要素

民泊の売上は、「客室単価 × 収容人数 × 稼働率 × 営業日数」で計算されます。

客室単価は、エリアや施設のグレードによって異なりますが、立地条件や設備の充実度、レビュー評価により単価を上げることが可能です。

稼働率は、営業日に対する実際の宿泊日の割合で、一般的には60〜80%が目標となります。季節変動があり、繁忙期には90%以上、閑散期には40%程度になることもあります。

営業日数は、民泊新法では年間180日以内、旅館業法や特区民泊では365日となります。営業日数の制限は収益に大きく影響するため、法律選択の重要な判断材料となります。

稼働率の目安とシナリオ

民泊の稼働率は、立地やマーケティング戦略により大きく異なります。

稼働率60%のシナリオ:東京都内ワンルーム、1泊15,000円、月18日営業の場合、月間売上は270,000円となります。経費を150,000円とすると、月間利益は120,000円程度が見込めます。

稼働率80%のシナリオ:同条件で月24日営業の場合、月間売上は360,000円、利益は約210,000円となります。

稼働率向上のためには、魅力的な写真と説明文、競争力のある価格設定、迅速なレスポンス、高評価レビューの獲得が重要です。立地が良く、設備が充実している物件では、稼働率90%以上も達成可能です。

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民泊の将来は明るい?

民泊市場はインバウンド回復や大型イベントの影響で変化しています。データとトレンドをもとに、今後の可能性を探ります。

外国人旅行者の数は過去最高水準に

2024年の訪日外客数は3,687万人と、コロナ前の2019年を大幅に上回る過去最高を記録しました。2025年も4,020万人の訪日外客数が予想されています。

訪日外国人一人当たり消費支出も好調で、2024年1〜3月期は20.9万円と、政府目標の20万円を超える水準を維持しています。特に宿泊料金の伸びが顕著で、娯楽サービス費も2019年対比で倍増するなど、コト消費の拡大も見られます。

2025年のインバウンド市場は10兆円規模に達する見通しで、民泊需要にとって大きな追い風となっています。中国からの訪日客数も回復傾向にあり、2025年半ば頃には2019年並みの水準になると予測されています。

宿泊施設全体の中で民泊はどんな位置づけ?

2024年の宿泊施設の宿泊費単価は17,000円近くとなり、2023年の1.2倍に上昇しました。インバウンド需要に伴う宿泊料金の値上げによるものです。

住宅宿泊事業法に基づく民泊届出件数は着実に増加しており、2024年3月時点で23,142件となっています。一般的に民泊新法による届出は旅館業の営業許可より取得しやすいため、事業をスタートさせやすいことが要因として考えられます。

民泊の宿泊単価は年間平均で前年の約1.4倍に上昇し、宿泊施設全体よりも大きな伸びを示しています。外国人の宿泊割合も延べ宿泊者数ベースで2019年の19%から2024年4月には26%まで上昇しており、インバウンド向けを意識した高めの料金設定が続いています。

失敗しないためのヒント

民泊運営は魅力的ですが、リスクもあります。失敗例から学び、トラブルや赤字を避けるためのチェックポイントを押さえておきましょう。

よくあるトラブルと事前対策

民泊運営でよくあるトラブルは、近隣住民との問題、法令違反、収益悪化の3つに分類されます。

近隣トラブルでは、騒音問題やゴミ出しルール違反が最も多発しています。事前対策として、防音対策の実施、ハウスルールの明確化、24時間対応の緊急連絡先設置、近隣住民への事前説明が重要です。ゲストチェックイン時には、騒音に関する注意事項を必ず伝達しましょう。

法令違反では、営業日数の超過、消防法令不適合、無許可営業が問題となります。民泊新法では年間180日の営業日数を厳格に管理し、毎年2月・4月・6月・8月・10月・12月の15日までに営業実績を報告する義務があります。

設備管理では、設備故障や清掃不備によるクレームを防ぐため、定期点検とメンテナンス体制の構築が必要です。特に水回りや電気設備の故障は大きなトラブルにつながるため、信頼できる業者との提携が重要です。

民泊運営失敗回避チェックリスト

カテゴリチェック項目重要度対策方法
法的リスク営業日数の上限管理★★★予約管理システムで自動集計
消防法令の適合★★★消防署への事前相談・設備点検
近隣住民への説明★★☆事前説明会・連絡先の明示
運営リスク清掃品質の維持★★☆プロ清掃業者との契約
ゲスト対応の遅延★★☆24時間対応体制の構築
財務リスク初期投資回収期間★★★2-3年での回収計画策定
月次収支の赤字継続★★★6ヶ月連続赤字で事業見直し
競合との価格競争★★☆差別化戦略・付加価値創出

撤退ラインを決めておく重要性

民泊事業では、事前に撤退ラインを明確に設定することが重要です。感情的な判断を避け、客観的な基準で事業継続を判断する仕組みが必要です。

損益分岐点の把握が基本となります。稼働率40%を下回る状態が3ヶ月以上続く場合、または月間収支が6ヶ月連続で赤字となる場合を撤退ラインとして設定することが一般的です。

資金繰りの限界も重要な判断基準です。初期投資資金の回収期間を2〜3年と設定し、この期間内に投資回収の目処が立たない場合は事業見直しを検討します。

撤退時の出口戦略も事前に準備しておきます。賃貸物件の場合は原状回復費用を想定し、購入物件の場合は売却または賃貸住宅への転用を検討します。民泊から通常の賃貸への切り替えは比較的容易で、設備投資も無駄になりません。

まとめ

ここまで民泊ビジネスの基本、法律、運営の流れ、収益構造、将来性まで一通り解説しました。最後にポイントを振り返ります。

民泊ビジネスは、適切な知識と準備があれば、副業から本格事業まで幅広い可能性を秘めた魅力的な事業です。成功の鍵は、法的コンプライアンスの確保、収益構造の理解、そして継続的な改善にあります。

民泊運営には、法的手続きから日々の管理まで多くの業務が伴います。「自分で全て管理するのは大変そう」「もっと効率的に収益を上げたい」とお考えの方には、専門の運営代行サービスの活用をおすすめします。

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